2009/ Jul _ 09

至福の一品

7月6日付け朝日の夕刊に「至福の一品」という囲み記事に生活品評論家・東

海左由留という人が靴を紹介している。

生活品評論家などと、自ら嬉々として名乗る人もいるだろうが、大方は、編集

サイドが「これはいい」とか「的をえてる」とかご満悦でひねり出しても、書

き手そんな肩書きは勘弁してと拒否すればいい。

きょう日、何でも評論家にしなければ気がすまないメディアの権威主義が名指

すこの手の評論家の何と多いことだろう。

その流れだが、広告のキァッチコピーならいざ知らずジャーナリズムがよくま

あ「至福の一品」などと、よくもちあげるなーと思う。まあ、この新聞の広

告部のゴリ押し企画だとお思うが、それにしても靴の商品広告で「究極」とか

「至芸」、「至上」、「極上」を好んでつかうが、その実体は何を指して言っ

ているのだろうか。森羅万象、これが極み・・・なんて言い切っていいのかな ?

とくに既製靴を至上とか究極の履き味などとよくこのような戯言がいえるなー

と思う。しょせんフィットレスの既製靴ではないか。

100人いたら200の足があると言われるように人の足の個人差、左右差は千差

万別、まして歩く癖もそれぞれ様々で、一筋縄ではいかないのが人の足である。

この国には足長、足幅を規定した J I S 規格という既製靴の足入れの目安でし

かないのだが規格に準じてつくっていることになつているが、きょう日、この

規格に準じてつくつている靴製造企業は皆無である。

ちなみに J I S 規格を紹介すると・・・

男ものは20センチから30センチを5ミリ等差で足長21サイズ、足囲は6ミリ

等差でAからはじまってGまで、ただしEは、E、EE、EEE、EEEEと4種あり

10種で計210サイズあり、女ものは同様の等差で足長は19,5センチから27セ

ンチで16サイズ、足囲はAから4Eまで8種、計128サイズ。全部網羅すると推

定カバー率は98%と言われていが、しかし商売となるとこれだけの在庫をも

つわけにはいかないので、男ものは足長24,5センチから27センチ、足囲は

2E種で6サイズ、女ものは足長22センチから25,5センチ、足囲はE種で8サ

イズで構成しているに過ぎない。

つまり J I S 規格の内、男ものは3%弱、女ものは6%強しか使用していな

いので、そのカバー率は、おして知るべしである。

じっさいは男の足の足囲はE種、女の足の足囲はC種とD種がいちばん多いが、

ひとつ上の足囲種にあげオーバーサイズにしておけばカバー率が高くなるから

である。

既製靴は履く人の足がなくても幾らでもつくれる仕組みで、だれにも合わない

靴をつくっている気楽な商売なのである。これが既製靴の現実である。

よりよく歩くことを望むなら、内在すべきはフットフィッティング & グッド

ウオーキングの技能化を真意にとりくまなければならないのだが、既製靴は

「究極の履き味」と言ったところで、その技能限界は一言「フイットレス」だ

とする前提にたたなければならない。

それがなぜ「至福の一品」であったり、「究極の履き味」などと言い切ること

ができるのだろう。

この記事などは、生活品評論家と言ったところで見かけだけの評価しかでき

ない厚顔無知の、ごますり、よいしょ屋のセールストークにすぎない。

広告に踊る幻想を真に受けて、自らの靴技を「至上の技法」とか「至芸」と

宣って「匠」然とする人 (本気だけに滑稽)がいるが、それとてたんに、権威

主義者の年季のはいつた小手先の「巧み」であつて靴の本義とはかかわりの

ない空虚な戯言である。

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07/09 pm 09:00

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