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2007/ Mar _ 25

「トレンド派」と「テクスチュア派」。

もう1ヶ月も前であるが、2月20日、新宿パークタワーホールで行われた

イタリア植物タンニンなめし革協会主催の学生向けフェアにワーカーズ17

期生全員、課外学習として午前・午後の部に二手に分かれて参加した。

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柔軟性、弾力性、抗張力、耐熱性、染色性にすぐれているクロム鞣し革が靴

素材の主流だが、クロムは化学反応を起こし、人体に有害と言われる6価ク

ロムが含まれていることで、近年、有史以前からひきつがれてきた最古の植

物タンニン鞣しが注目されて感心を集めている。タンニン鞣しの革は今まで

もあったが、

自然の植物タンニンで鞣しの革なのか、

合成タンニンなのか、

クロムと合成タンニンの混合鞣しなのか、

仕様が明示されず、またタンニン鞣しは堅牢なのはいいが、甲革に適した性

質・・・柔軟性、弾力性、抗張力、耐熱性、染色性に乏しく甲革として使い

勝手が悪いので敬遠されてきた。

このたびの催事はイタリア植物タンニン鞣し革協会と冠しているから、真性

の植物鞣しの革なのだろう。

今までタンニン鞣しの革と違って、かなり甲革として使える性質に近づいて

はいるが、この性質をひきだすのに油性分にたより過ぎるのは、一般靴の

99%をしめるセメンテッド・プロセスにはまだ底部の剥離に不安がともなう

のと、価格が倍以上するので使えきれないが、今後、改良改善されて普及拡

大されていくのは間違いない。

イタリア植物タンニン鞣し協会主催は、素材展として意味ある催事であったが、

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2008年春夏の「トレンド」ナチュラル センセーションズ『方位と展望』と題

してダイアン・ベッカーによるプレゼンテーシヨンと、

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協会関係者による植物タンニン鞣しの『テクスチュア』のレクチャーの抱き

合わせに違和感をもった。

この催事は、仕掛けの大きい販売促進策の一環だと言ってしまえばそれまで

だが、春夏シーズンの「トレンド」と植物タンニン鞣しの「テクスチュア」

この 2つを一つの催しのなかで並列する矛盾を主催者側は、なにか変だと感

じ取らないのは、ともかく「売らなければならない」が至上の目的だからだ

ろう。

何が変かというと「時間」というキーワードで吟味するとよくわかる。

かたやシーズンプログラムにのっとって、とにかく何かをでっちあげ「時間」

を圧縮分断し、即、陳腐化をくりかえす「トレンド派」だから、なんの

ことはない、ただ目先の「ショート スタンス = 短期」のお話に終始し、

かたや生涯という時間を醸造するに似た「テクスチュア派」は、暮らしという

場で使い込むほど味がでる「ロング スタンス = 長期」のお話になる。

新作と称して売り急ぐ派と、典型をゆっくり売る派の、この2つのお話は、対

立し、どこまでいつても平行して交わることがない。

手づくりは「テクスチュア派」と方位は同じくするで共感するが、

「トレンド派」には、あんた方は、そんな余計なことをいつまでやっている

のと問いたい。

スクリーンに映しだされる、もっとらしい映像とコメントは、滔々と叙情詩

まがいの麗句をまくしたて、饒舌の洪水で商売亡者どもを催覚させ、自らの

プレゼンテーションにたらし込む魂胆だろうが、手づくりする者にとっては、

ただ意味のない言葉を羅列した空虚な御託にしか聞こえてこない。

そのうえ「トレンド」は私が決めるとばかりに「テクスチュア派」の話に高

飛車に割り込み、聴衆を睥睨 = 嘗めた態度は、どこからでてくるのだろう。

聴衆は愚人ばかりではない。

そしてもっともらしい「つくり話」に便乗する付和雷同組も、こんな口車に

のらないで少しは「自分で考えろ」と言いたい。

手づくりのつくり手の思想はショートカットして先を急ぐ処にはいない。

しかし企画 (企てごと) や計画 (計りごと) が仕事とはいえ、なぜそんなに先

を急ぐのか、そんなことにいつまでも加担しているのは、いまどきカッコ悪

いですよ・・・と言ってやりたい。

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(初稿) 03/25 pm 07:00

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