2005/ Jun _ 21

希望という地平 24

「モゲさんのようになりたい」と、ディヤーズに通っていた酒井ムツ美(卑弥

呼)と石田光江(ワコール)が言い出したときに、ワーカーズが始まった。

酒井がワーカーズの1期生、

石田が2期生ということになつているが、

いずれも1人しかいなく、

酒井が1年制のワーカーズ。

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(ディャーズ時代の酒井ムツ美、赤丸中)

石田は事情があって短期習得という変則制であった。

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(1991年に自宅で工房をたちあげたときの写真)

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ワーカーズは「靴を仕事にするコト」で「靴だけをつくるコト」の意味では

ない。

手づくり靴で、「コトガラ」をつくる。

その「コトガラ」で一人自在に仕事をする。

手づくり靴で、よりよく生きる。

この方位への道がこのとき開かれた。

ディヤーズといいワーカーズといい、何れもモゲに集まってくれた人たちが

目を開かせてくれた。

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モゲワークショップは、私がそうであったように・・・

手づくり靴で自立自在に仕事をする道筋をつける。

グッドフィッティングとグッドウォーキングを融合する技術体系をつくる。

そうすると靴の現在位置と未来の方位が明確になる。

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仕事ができなく靴難民化していくのは自業自得であって、その根は何もかも

曖昧のままで「はっきり」させない、「はっきり」できない人たちであって

この人たちは、手づくり靴を仕事にすることはできない。

手づくり靴を仕事にする考え方と、小型機械を開発するのも、ただ一人で仕

事をする最小のスペース考えてのことである。

万端を整えるのも手づくり靴を仕事する、長い間の想いが成すのである。

この想いは、一念と言った方が適切かもしれない。

なにも知らない、なにも出来ない、それこそ地べたに這いつくばって、これ

以下はないところから、独勉ではいあがってきた、この一念があればこそで

ある。

酒井、石田の両人の一言で手づくり靴は希望という地平にさらに近づいた。

私が1世代目とすると、酒井、石田が2世代目、今日も石田の「丸手」のOB

で靴工房・OGUを大阪で立ち上げている小椋敦子、3世代目が訪ねてきた。

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午後3時から6時まで色々話し込んだ。

話込んでわかるのは、いつも私がこのブログで問題提起しているコトガラば

かりであつた。

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余談になるが、

名刺にある工房の所在地が大阪市西成区とある。

私の履歴に表履歴と裏履歴があり、表履歴は上智大学から広告代理店・博報

堂と今流にいうとエリートコースというとこだろう。

裏履歴は、上智大学と博報堂のあいだである。大学中退後大阪に流れていっ

て、この西成のドヤ界隈の住人であった。21歳の頃である。博報堂に入った

のは26歳だから、それまでの波乱万丈 ? の時代である。

小椋の言うのには、早朝、仕事へ向かうトラックが何台もやってきて、飯場

はどこで一日いくらと叫んで、この界隈の人をかき集め現場へ走り去ってい

くそうだ。私がいたころと、あの界隈はちっとも変わってないのか、トラッ

クに乗り込んで飯場にむかう自分の後ろ姿が見えた。

大阪の暮らしは、それまで感じたことのなかった人情の熱さ深さを知った。

この頃封切られた水上滝太郎原作、五所平之助監督の「大阪の宿」は忘れら

れない映画の一つである。

飯場で1日働くと460円になり、これで2日暮らせた。一日仕事して、1日は

定職さがし、この時代は未曾有の就職難で大学卒の就職率30%という時代で

ある。

将来何に成りたいと思ったところで、そんな素地が何もない時代で、

まず1日2食、腹いっぱたべたいと口に運ぶことばかり考えていた。

大学卒の殆どが肉体労働からはじまり、不本意ながら就職できた会社で頑

張った人たちが、今の日本経済の基盤をつくったと思っている。

横道にそれたが、私の半生も横道回り道ばかりだつた気もするが、表裏含め

て、この横道回り道人生が、振り返ってみて、けして横道回り道ではなかっ

たと、むしろ感謝している。

だから今があるのだと・・・

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小椋の話から思わぬ方向に脱線したが、手づくり靴を仕事する。一人で始め

た「コトガラ」が3世代から4世代5世代と裾広がりになっていくのは愉快な

ことである。

もはや老いているが、さらに老いてから、この人たちを訪ね歩くことを楽し

みにしている。

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