2005/ Jun _ 12

希望という地平 18

手づくり靴は、靴をモノとしてみない。

靴をコトガラだとする。靴をつくる3つのコトガラについて、よく話をする。

靴のモノ性を第一義として、どれだけ「手をかける」量が多いか、どれだけ

「技芸」が披露できるか、どれたけ「権威」におもね偉そうにするか・・・など

などと、手づくり靴は無縁である。

手づくり靴は、どれだけ手をかけることではなく、どれだけ「手をつくす」か、

どれだけ履く人の「足に思い」をかけるか、どれだけ「市井」の場にとけこみ

共感されるか・・・だと思っている。

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手づくりを仕事にする「3つのコトガラ」は・・・

自分で履く靴を自分でつくりたい人に、つくる技法を手わたすコトガラが1つ。

既製靴では対応出来ない人、何らかの原因で歩行がままならない人の靴をつくる

コトガラが1つ。

自分の靴をつくるコトガラが1つ、で3つになる。

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自分の靴は、自分の暮らしの用をつくることで、自分の暮らしが浮き彫りされる。

大向こうを意識しないで、今、暮らしで何を考えているか、自分の暮らしの意識、

感性、美、が自然に表出する。手でつくる意味がそこに在るからである。

そのことでその人が、本当に見えてくるからで在る。

売りねらいの「○○展」なんて問題にならないくらい大事なことだと思ってい

る。このことについて、もっと話をしたいが、今日は、靴をつくる技法を手につ

けて、まず仕事をどうするか考えると、既製靴ては対応出来ない人、何らかの原

因で歩行がままならない人の注文靴をつくることになる。

注文靴をどのように「手をつくして」つくってきたかに絞ってみたい。

私が、まだ靴を丸ごとひとりでつくる技法を取得してない頃は、足の計測、木型

の補正、裁断、底付けの出来ることから始めた。

まだ出来ない、型紙、製甲、加工底は外注下職にお願いして始めたわけである。

あれが出来ない、これが出来ないといっていたのではいつまで経っても何も始

まらない。前にも述べたが¥9800の靴を3年間で2000足前後つくる間に、出来

なかった型紙、製甲、加工底を自勉でものにした。

この経緯と経験から学んだことは、何度も言うようだが、既製靴はフィッティン

グもままならない技法だということだ。企画問屋の既製靴時代は、それなりに履

きいい靴をと努めてはきたが、所詮規格木型さえあれば靴はつくれる世界だった。

足がなくても靴がつくれる、足のことを、とことん考えなくても、そこそこ靴は

つくれる。これって何んなのだ。だから足を無視して、勝手な事が平気で出来る

のだと、変に納得する。

世の中には、既製靴で対応できない人、靴と足のかかわりについて無頓着だった

つけがきて、歩行もままならない人のなんと多いことか、思い知る。

企画問屋時代には見えてこなかったことを、知るにつけ愕然とする思いがあった。

手でつくる靴の意味はこのことだと思い知らされる。

今、靴の技法を手につけた人たちは・・・

業界のいう手製靴の領域で、分業と量産の仕組みを駆動して手づくり風既製靴の

道をいくか、この分野はは、ひとりで足分靴をつくる技法は必要としない。

よくひとりで靴をつくる技法を手につけていれば既製靴の仕事にも生かされると、

いかにも説得力のありそうなことを言う人がいるが、既製靴は量産合理の技術体

系に属する技法なのだ。その技法で注文靴はつくれない。なぜなら既製靴はフィ

ッティングを考えないですむ技法たからだ。

手づくり靴はフィッティングの技法なのだ。

あくまでひとりで自立自在に仕事ができる仕組みをつくり、手づくりの意味を

真っ当するか、これからの道筋はここで岐路に立つ。しかしこの場に及んで岐路

に経つのでは、もはや遅いのある。靴難民の原因がここに在る。

養成機関に提唱している既製靴分業職手専科、手製靴市場参入専科、手づくり靴

自立専科と、いずれにしても技術というものはより良く生きる、または生きるこ

とのできる技術を手わたしていくのが職責だと思うからだ。

つづく。

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昨日は、骨の節々がいたいので風邪だと思った。へそ曲がりなので流行風邪はひ

かないが、毎年とんでもない時期に風邪をひく。来たなという感じだ。

そんなわけで体調を崩し一日横になつていた。一週間の段取りを考えると先送り

できないことばかりで、一日何かでつぶれると、後々かなり辛い思いをすること

になる。深夜体温が39,5度まであがり、どっかにバファリンがあつたはずだと、

あちこちガサガサさがしあて2錠飲んだ。バファリンは凄い、2時間置きに体温

を計ると、確実に1度づつさがり朝には36.5度までさがってホットした。

これでなんとか今日一日もちそうだ。

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