2005/ Mar _ 02

既得権益を死守する権力。

「技法を権力にしてはいけない」につてい質問があった。少し突っ込んで考えてみる。

まず、この一文を紹介しよう・・・

「今後の地域のシューズ店は、健康をコンセプトとする場合、

[靴のスペシャリスト]になることがもとめられます。

どこの店とも何ら変わらない店では、生き残ることは困難です。

そこで [靴の匠] を打ち出し、工房型ショップや [町のマイスター] をおくことが考えられます」云々・・・

この一文のなかに「靴のスペシャリスト] [靴の匠] [町のマイスター]と云うコトバがあるが、

昔流に云うと[親方職人]のコトだろう。

京都の町を自転車で散策していると、ある注文靴屋が目にとまった。訪ね名刺交換すると、

「靴匠・○○○○」とあった。ちなみに私の名刺は「クツのつくり手・○○○」としてある。

この人も親方職人だが、自分のコトを「靴匠」と名のるおこがましさ、とてもこうい

う人とは、つき合えないなと思った。

こうゆうハナシはどうだろう。

織物がすきな若い女が、技法を手につけようと、ある親方職人の内弟子になった。

給料無しの5年年季というコトで、最初の1年は家事下働きで2年目からは下働き兼業で親方の仕事ぶりを

よこ目で覚えながら、みんな寝静まった夜中に自分でやってみる。

それでも5年たつと何とかモノになり、親方から離れ自分の仕事として反物を織りはじめる。

これはTVのドキュメンタリー番組だが、

夕日を背景に廃線になった線路を、織り上げた反物を小脇にかかえて親方の家に向かうこの人の後ろす

がたは、ちよっとクサイがこの番組が欲しかった絵図らだろう。

夕日、廃線の道具立てはこの技法の仕組みの落日を物語っている。

織り上げた反物は、親方だけにしか売るコトができない。一反5万円が相場だそうだ。

後日、都内のデパートの和装売り場にその反物で仕立てられた着物に親方の名前で150万円の値札が

ついていた。

靴の親方職人の内弟子で寝泊まりしながらの下職は大なり小なりこんなコトだろう。

前回結論づけた「親方職人のように、技法を権力にしてはいけない」はこのコトをさす。

[権力] [権勢]とは人を力をでねじ伏せる政治的な力と解釈している。

伝統の名のもとに技法を世襲し、家元(親方)を頂点にした集金の仕組みを封建制度という。

新参物を排除しなければ、この制度はなりたたない。

この仕組みを近代化したのが医療、美容でひろく行われてきたインターン制度である。

このインターン制度は現在では廃止になっているが、この制度の本音は、親方の内弟

子制度と同じで、安くこき使うことができるコトだ。

しかし多くの私的な企業でこの制度は脈々と生きている。

医療でのインターン廃止の弁は・・・

「戦後、水準の高い医師を養成するという観点から実地修練(インターン)制度が、導

入され、卒業後1年以上は、診療及び公衆衛生に関する実地修練を行うことが、

医師国 家試験受験資格の要件となっていました。

しかし、医師免許を持たない状態で、学生でも医師でもないインターンの行う医療行

為の法的位置づけ、インターンの経済的問題、実地修練病院の指導体制の不備や不十

分 な助成等の問題点を抱えていました。

そのため、インターン制度を廃止して卒前教育と医師免許取得後の臨床研修の充実を

図るため、昭和43年に医師法を改正して廃止となり、現行の医師臨床研修制度が設け

られました」

過去につくられた制度というものは、所詮、ズレが出て現実的でなくなるコトは自明である。

ズレが生じているのに、またぞろ「マイスター制度」をつくろうという動きがある。

「制度」は旧いしきたりを温存して、あたらしい考えは出来るだけギリギリ追いつめられるまで排除し

ようとする仕組みをさす。

マイスター制度とは、親方職人の内弟子制度と言い換えてもいい。

現在で知られているのは、横浜、神戸の「靴のマイスター」がある。

このマイスター制度は、行政が地域の経済活性化を策として地元の色々な業種の親方職人をみつけだし

組織し、「マイスター」の称号を冠に権威づけようとしている。

なにをもって「マイスター」とするのか、はっきり伝わってこない。

ただ、[靴のスペシャリスト] [靴の匠] [町のマイスター]というコトバだけが踊っているのが現状だ。

地域社会とのかかわりを考えるのであれば何も「マイスター制度」でなく、

「足と靴との良い関係を考える」NPOと連携して地域住民の健康の関わりを深めるべきだと思うが。

いずれにしてもマイスター制度は、徒弟制でありこの制度にとりこまれなければ仕事

をする認可がもらえない。

マイスター(親方職人)は既得権益にあぐらをかいて、自分たちを脅かす、そとからの参入を権力をもって

排除する。

徒弟制といい排除といい、これは基本的人権に抵触すると思いうが。

F1ギルド、プロ野球ギルド、手縫い革底ギルドなど、

ギルド制の保持のためなら、脅かす勢力は尽く排除する仕組みで、

マイスター制度もギルド体質と受け止めている。

マイスター制の本場と目されているドイツでもこの制度は崩壊している。

その辺のコトはまた明日・・・

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